愛着障害とは?大人になって現れる特徴と回復への道筋」
- こころのケアラボ仙台
- 3 日前
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人は生まれてから、養育者との関係を通して「安心できる世界」を学んでいきます。
この安心感を心理学では**愛着(アタッチメント)**と呼びます。
愛着は人格の一部分ではなく、その後の
情緒的発達
認知的発達
行動的発達
社会的発達
すべての土台となるものです。
土台が安定していれば、自分を信頼し、人を信頼し、困難に直面しても安心を取り戻す力が育っていきます。
しかし、この土台が十分に築かれないまま成長すると、大人になってからも人間関係や感情の調整、自己評価などにさまざまな影響が現れることがあります。
ボウルビィの愛着理論
愛着理論(Attachment Theory)は、イギリスの精神科医・精神分析家ジョン・ボウルビィによって提唱されました。
ボウルビィは、子どもにとって最も重要なのは衣食住だけではなく、「安心して頼ることのできる養育者との安定した関係」であると考えました。
子どもは不安や恐怖を感じると、本能的に養育者へ近づきます。
そこで抱きしめられ、受け止められ、安心を繰り返し経験することで、
困ったときは助けてもらえる
私は大切にされる存在である
人は信頼できる
という感覚が育っていきます。
ボウルビィは、この安心して戻ることのできる養育者を**「安全基地(Secure Base)」**と呼びました。
子どもは安全基地があるからこそ安心して世界を探索し、失敗しても再び戻って安心を取り戻すことができます。
一方で、養育者が一貫して応答してくれなかったり、拒絶されたり、あるいは恐怖の対象であった場合、子どもは安心して頼ることができません。
その結果、
人は信用できない
私は愛されない
頼ると傷つく
という無意識の信念が形成されやすくなります。
ボウルビィはこれを**「内的作業モデル(Internal Working Model)」**と呼びました。
内的作業モデルとは、自分・他者・世界に対する無意識の見方であり、大人になってからの恋愛、夫婦関係、職場の人間関係などにも影響を与えます。
愛着障害が大人に与える影響
愛着形成が十分でない子どもは、
落ち着きがない
感情をコントロールしにくい
人との距離感がわからない
集中しづらい
強い不安を抱える
などの特徴が現れることがあります。
そのため、愛着の問題は発達障害と似た特徴を示すことがあり、慎重な見立てが必要です。
もちろん、発達障害と愛着の問題は異なる概念であり、両方が存在する場合もあります。
愛着は発達の土台であるため、その土台が不安定だと情緒・認知・行動・対人関係など幅広い発達に影響を及ぼすことがあります。
愛着形成を妨げる養育環境
愛着障害は子どもの責任ではありません。
背景には、養育者自身が抱える未解決の課題が存在することがあります。
例えば、
未解決のトラウマ
精神的な不調
発達特性
慢性的なストレス
境界線(バウンダリー)の問題
などです。
養育者自身が安心できる愛着を経験していない場合、その生きづらさが次の世代へ受け継がれてしまうこともあります。
境界線(バウンダリー)の問題
バウンダリーとは、自分と他者との間にある心理的な境界線です。
この境界線が十分に機能していない養育者は、
子どもの気持ちより自分の都合を優先する
子どもを自分の所有物のように扱う
子どもの感情を受け止められない
支配と依存を繰り返す
ことがあります。
相手の立場に立って考えることが難しく、子どもを一人の人格として尊重できないため、子どもは安心できる土台を築きにくくなります。
「愛されるための行動」が身についてしまう
安心して愛される経験が少ない子どもは、
「そのままでは愛されない」
という思い込みを抱きやすくなります。
そして、
良い子でいる
頑張り続ける
人の期待に応える
人の顔色をうかがう
NOと言えない
という「愛されるための行動」を身につけていきます。
これは性格ではなく、生き延びるための適応です。
しかし、その結果として自己愛や自己肯定感が十分に育ちにくくなります。
愛着障害の心と身体への影響
愛着の問題を抱えたまま大人になると、慢性的な緊張状態が続き、自律神経やホルモンバランスにも影響が及ぶことがあります。
その結果として、愛着の問題だけが原因とは言えないものの、一因として次のような症状や疾患がみられることがあります。
愛着障害の身体面
慢性疲労
線維筋痛症
顎関節症
耳鳴り・突発性難聴
月経困難症
子宮内膜症
甲状腺疾患
自律神経の乱れ
愛着障害の心理面
うつ病
社交不安症
パニック症
摂食障害
解離症状
離人感
燃え尽き症候群
IFS(内的家族システム療法)から見た愛着障害
ボウルビィは「内的作業モデル」という概念を提唱し、幼少期の体験がその後の人間関係や自己認識に影響すると考えました。
IFS(Internal Family Systems:内的家族システム療法)は、その影響が心の中でどのように表れているのかを理解するための、とても有効な心理療法です。
IFSでは、人の心は一つではなく、さまざまな役割を持つ**パーツ(部分)**から成り立っていると考えます。
愛着形成の中で十分に安心できなかった子どもは、不安や恐怖、悲しみ、孤独といった深い傷を抱えます。
IFSでは、この傷ついた部分を**エグザイル(Exiles:追放されたパーツ)**と呼びます。
そして、その痛みを二度と感じないように、
完璧でいようとする
人に嫌われないよう努力する
人の期待に応え続ける
感情を抑え込む
といった役割を担う**マネージャー(Managers)**が働きます。
それでも苦しみがあふれそうになると、
過食や拒食
アルコールや買い物への依存
怒りの爆発
解離
人間関係を突然断ち切る
などによって苦しみから守ろうとする**ファイヤーファイター(Firefighters)**が現れます。
一見すると問題行動のように見えるこれらの反応も、IFSでは「その人を守るために懸命に働いてきた大切なパーツ」と理解します。
そのため、IFSでは悪い自分を変えようとするのではなく、「なぜそのパーツが必要だったのか」を理解し、本来誰もが持つ**Self(セルフ)**の落ち着きや思いやり、好奇心を中心に据えながら、傷ついたエグザイルを癒していきます。
回復は可能です
愛着は子どもの頃だけに形成されるものではありません。
安心できる人との関係や、安全なカウンセリングの場で受け入れられる体験を重ねることで、新しい愛着を育み、内的作業モデルを書き換えていくことは可能です。
当カウンセリングルームでは、ボウルビィの愛着理論を基盤とし、トラウマ理論やIFS(内的家族システム療法)の視点を取り入れながら、一人ひとりの心のパーツを尊重し、安心して自分らしさを取り戻していけるよう支援しています。




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